大学院看護学研究科

看護学研究科の教育理念および目的

1.看護学研究科の教育理念

1)社会の保健医療ニーズに応える知識・実践力のある人材の育成

 近年、高度な医療技術の進歩と入院期間の短縮化など患者を取り巻く環境が変化し、急速な高齢化により、地域包括ケアシステムの構築が必要である。このような複雑化、多様化する社会状況において、看護職には、人々の健康増進と共に生活の質を高めるための高い専門知識と実践力が求められる。

2)医療従事者間の調整やマネジメント能力の育成

 これらのニーズに応えるためには多職種がチームとして関わることが重要であり、看護職には、医療従事者間の調整やマネジメント力が求められ、チームのリーダーシップをとれる人材が求められている。

3)実践の場における看護学教育と研究の担い手の育成

 複雑化、多様化する臨床の場においては、総合的に現状を捉え判断できる能力、研究成果の活用、新たな看護方法の開発や評価などを研究的視野をもって探究できる能力が求められる。

2.教育目的

 本研究科の教育理念に基づき、各領域における専門的知識を深め、「実践力」「マネジメント力」「教育力」「研究能力」を有する看護実践リーダーを育成します。

領域専門分野の特徴

1.看護基礎分野

①看護教育学領域

 看護教育学領域では、社会の変化に対応すべく、質の高い看護師を育成するために、看護学教育・指導の充実が求められています。看護基礎教育における実践的教育の担い手として、看護の概念・魅力を伝えるとともに看護実践力の基礎を培う臨地実習指導等について探求する人材を育成します。看護継続教育では、看護職員の成長度に合わせて教育・指導ができる担当者を育成します。いずれの教育の場においても学生や看護職員に効果的なかかわりができる実践的リーダーを育成します。

②看護管理学領域

 看護管理学領域では、近年の社会情勢や医療提供の変化により、看護組織としてのあり方、看護サービスの提供や他職種連携等、看護管理者の役割や責任も変化してきています。地域包括ケアシステムをふまえて、病院や地域などで組織として質の高いサービスを提供できるよう、看護管理の問題を追求します。看護管理の基礎となる諸理論を学び、組織を変革し発展させるための実践ができる人材を育成します。

2.看護実践分野

①発達支援看護学領域

 発達支援看護学領域では、さまざまな疾病や障害をもつ子どもと家族に対し、子どもの健全な育成を目指した支援を探究します。現代社会は少子高齢化により、子どもを育む環境も大きく変化しており、家族形態の多様化、家族機能の低下等から社会が子どもを育てる必要性に迫られています。また、医療制度の進歩によって、医療的処置の必要な子どもも地域で生活することが可能となっています。これらの状況を多角的にアセスメントし、子どもの権利を保障することができる人材を育成します。

②生活支援看護学領域

 生活支援看護学領域では、さまざまな健康課題を持つ成人および高齢者とその家族への生活支援に焦点を当てた看護方法について探求します。近年我が国は人生100年時代を迎え、健康寿命の延伸や慢性的な疾患、加齢によるさまざまな障害をもちながらもその人らしい人生が送れるよう支援することが看護に求められています。そこで、成人期・老年期特有の健康課題や多様な価値観、ライフスタイルに応じた生活支援看護方法を探求できる人材を育成します。

③地域・精神保健看護学領域

 地域・精神保健看護学領域では、地域で生活する個人・家族・集団と地域の状況を分析し、地域の健康課題に対する解決方法を探究します。人生100年時代となり、人々の潜在化、複雑化した健康ニーズへの対応、予防的な介入を行う人材が求められています。近年、ストレスフルな状況にある人々に対し、心身の健康課題に応じた取り組みは重要であり、医療と介護の一体化したサービスを提供する地域ケアシステムにおいて役割を果たすことのできる人材を育成します。